<検証3-1>【CDのトラック65、66の頭のタイミングを見てみる】
さて、話を元のCDに戻します。
トラック65と66の頭の部分を拡大するとは音のタイミングが一致しているのが分かります。(図10)
(図10)
<検証3-2>【トラック65と66の内容を比較してみる】
検証の基準トラック65とします。
両トラックで曲の鳴っている通常部分のレベル差は常時0.5dBでしたので(例外的にトラック65が0dBのサンプルのレベル差は0dB)
トラック66のレベルを0.5dB下げ、さらに逆位相にしてからトラック65と合成してみました。
(図11)は合成した素の波形。
(図11)
(図12)が24dBレベルを上げたものです。
(図12)
【検証結果3-2】
幾つかレベルの大きな部分がありますが、このサンプルは簡単に言うとトラック66の波形が崩れている部分を表します。
あるサンプルのレベルが-10dBの場合、0.5dBレベルを上げると-9.5dBになります。元のレベルが-0.5dBの場合は0dBに、
元のレベルが-0.5dBより大きい部分はクリップします。
つまり、図12で波形がインパルス状になっている部分は元のトラック65のレベルが-0.5dB以上になっているタイミングを表しています。
<検証3-3>【図12の波形がインパルス状になっている部分を確認してみる】
37秒辺りを拡大したのが(図13)です。
(図13)
【検証結果3-3】
トラック66の左チャンネルがトラック65より潰れて平たくなってしまっているのが分かると思います。
そのため、合成波形はにはピークが出てしまっています。
lmstさんの検証されたDCオフセットやRMSパワー平均値の差が微妙に0.5dBでないのは
ディザーの性質と、このクリップによるものではないでしょうか。
【結果から得られる結論3】
○トラック65と66がどのような現象の結果なのかは分からないが、ディザーを無視して考えると、
トラック66のレベルを0.5dB下げるとトラック65と同じものが出来ると考えて良いだろう。
トラック65と66の周波数特性が異なるのであれば、合成波形にはもっと大きなピークが出るはずである。
【感想】
トラック65自体、ピークはデータ的にはクリップしていました(図11の左上辺りのピークメーター参照)が、
96KHzの元波形を44.1kHzにリサンプルして吐き出した時にクリップしたのかもしれません。
(※リサンプルをすると波形の微妙な形やピークは必ず変化します)
ちなみに、CDに収録されている他の複数曲のピークも同様にクリップしていましたが、瞬間的なものなので
出音が良ければあまり問題無いと思います。ただ、個人的には44.1kHzでマスタリング(またはアナログ出しで何かに録音)
した方が良かったんじゃないかなと思います。
リサンプルを最終段で行うという事は、マスタリング時に聞いていた音とCDに収録される音が変わる事を意味しますので。